
動物とのふれあいで高齢者に笑顔が戻るアニマルセラピーとは
今注目をあびるアニマルセラピー
動物との触れ合うことにより心がホッと和む。そんな体験・経験をされた方は多いのではないでしょうか。 実際にペットを飼っている方は毎日生活している中で動物がいるだけで気持ちが和らぎ、一緒にいるだけで癒され、笑顔になれ、一日の疲れが吹き飛ぶという方もおられるとおもいます。 このように動物とのふれあいというのは心を癒し、ストレスを軽減し、コミュニケーションを高めてくれることは多くの方が経験し、実感をしています。 最近テレビやラジオ、インターネットなどでも話題となっているのがアニマルセラピーです。 アニマルセラピーという言葉は日本で生まれた造語。 アニマルセラピーの始まりは古代ローマ時代と早く、戦争で負傷した兵士の治療のために乗馬を用いたのが始まりと言われており、現在では各国で研究が進められています。 アニマルセラピーは動物を介在させた医療行為の1種である動物介在療法・動物介在教育・動物介在活動の3つに大きく分かれています。 日本で主に行われているアニマルセラピーは動物介在活動が主であり、医用従事者が動物を介在させ治療を行う動物介在療法というのは日本ではまだ浸透しておらず、普及も広まってはいません。 動物介在活動は現在ボランティアの会などが生活の質の向上や情緒の安定などを目的として介護施設などを訪問し、活動を行っています。 高齢化社会の現在では高齢者の核家族化によるコミュニケーション不足や認知症・精神的なケアの必要性など様々な問題を抱えています。 そんな中、今高齢者にアニマルセラピーが注目を浴びています。 高齢者のためのセラピーには様々な方法がありますが、アニマルセラピーは高齢者にとって心身に良い影響を与える様々な効果が期待できます。 今回は高齢者のためのアニマルセラピーについて色々とご紹介していきましょう。
高齢者のためのアニマルセラピーの効果
老人ホームや介護施設に長くいる高齢者は人によっては人とのコミュニケーションがうまくいかず物事への意欲や食欲を無くしてしまう方、ストレスを感じイライラして人に当たってしまう方、人と接するのを拒み、表情が乏しくなってしまう、身体機能が衰えてしまう方など精神的や肉体的に悪影響が出てしまう方もいます。 アニマルセラピーを行い、動物と触れ合うことで自然に笑顔となり、物事の意欲が出てくる、自然に笑顔になる、精神的に落ち着く、食欲や身体を動かす気力が出てくるなど情緒を安定させ、元気を取り戻すといった変化がでるなど良い効果が期待できます。 また、動物のお世話をすることで自分自身が役立つことを感じ、自信を取り戻す効果も期待できます。 そのため孤独感・疎外感がなくなり、反論することのない相手とじっくりと話し合う事でイライラがなくなり、気持ちに余裕と安定感を保つことが出来ます。 これまで人とぶつかり合ってきた方も、相手を思いやる気持ちや、聞く耳を持つ余裕が出てくる方も多いです。 他にも動物のあたたかさ、可愛らしさに触れ、体感することで情緒的な満足感を得ることが出来ます。 動物に会いたい、触れたい、お世話をしたいという気持ちが出ることで、自分自身で動く気力と意欲がわいてきます。 動物と散歩や遊びやお話をすることで大きな声とはっきりした言葉が出るようになってきます。 結果的に施設内が和やかになり、動物の話をすることで会話とコミュニケーションが生まれ、人間関係も良くなります。
アニマルセラピーの認知症の効果は?
アニマルセラピーは高齢者の認知症予防や改善に役立つと言われています。 動物好きの高齢者が動物と触れ合う穏やかなひと時は幸せホルモンと言われている心を穏やかにするオキシトシンというホルモンが分泌されます。 幸せ気分になれるというのは認知症予防・改善に良い効果が期待できます。 また認知症を悪化させるふさぎこみや引きこもり状態を明るく活発にさせる効果も期待できます。 自分よりも小さな存在に対し、お世話をしたい、何かをしてあげたいという気持ちや使命感、が湧き、自分自身に対しての自信も取り戻す方もいます。 認知症におけるリハビリとしてのアニマルセラピーは最適。 認知症の方は生活していく中で無気力・無感情状態となってしまう方が多いですが、動物と楽しく触れ合うことで様々な感情を取り戻すことが期待できます。 グループホームや介護施設などで定期的にアニマルセラピーを行うことにより、楽しみが増え、表情が豊かになり、会話も増え、様々な事にやる気が出てくる高齢者の方も多く大きな価値のあるものと言えます。 また、高齢者の中には動物が嫌いな方やアレルギーで触れ合いたくても触れ合えない方がいます。そういう方の場合は動物型ロボットやしゃべる子供のお人形などがアニマルセラピーと同様の効果が期待できます。
アニマルセラピーの為のセラピードッグとは
高齢者施設などで行われるアニマルセラピーは主に犬。 アニマルセラピーはただ犬を連れて触れ合うというものではありません。セラピードッグというアニマルセラピーにふさわしい犬になる訓練を受けた犬のみが介護施設などを訪れ、高齢者と触れ合うことが出来ます。 セラピードッグになるためには45を超える教育カリキュラムをマスターし認定されるまでは2年以上もの時間がかかります。 セラピードックに向いている犬は人と触れ合うことが好きであり、忍耐力のある犬です。
アニマルセラピーの活動とは
高齢者のために行われているアニマルセラピーは様々な活動を行っています。 まずは施設訪問。老人ホームや養護老人ホーム・ディサービス、刑務所、精神科病棟、障碍者施設やホスピスなどを訪問し、ふれあいます。 そして施設飼育の活動も行っており、刑務所や精神病棟、老人ホームなどで動物の飼育をすることで気持ちを落ち着かせる精神療法や情操教育を行います。 その他自宅訪問やしたく飼育、乗馬やイルカと触れ合う屋外活動なども行っています。
アニマルセラピーの注意点
アニマルセラピーは沢山のメリットがありますが、メリットだけではなく、様々なリスク・デメリットも存在します。 正しい知識がある方の見守りなどが無いと高齢者・動物の両方が悲しい思いをする場合があるのです。 動物との触れ合いをどうしても楽しめない高齢者もいます。アニマルセラピーを行う場合は高齢者が動物を嫌いな場合は無理強いをしない事。 動物嫌いの高齢者はアニマルセラピーを避けるべきです。 動物な嫌いな方が動物に触れるという事は大きなストレスとなる可能性があります。 高齢者が動物アレルギーという場合もあります。 アニマルセラピーを行う際は高齢者本人や家族に動物アレルギーの有無を聞く必要があります。 また飼育型のアニマルセラピーの場合は高齢者が勝手に食べ物を与えすぎて動物が太ってしまったり、ボール投げなどの遊びを何度も行い、動物の方がストレスを感じてしまう場合もあります。 様々な理由で動物が噛みつきや引っ掻くなどのトラブルを起こしてしまう場合や認知症気味の高齢者の方が動物に危害を与えてしまう危険などもあります。 アニマルセラピーを実施する際には十分な下準備とアニマルセラピー受ける高齢者・そして動物側への十分な配慮が必要となります。 事前に良く話し合って様々な問題が起こった時も速やかに対処できるように万全な体制を整えておくことが必要です。