高齢者ドライバーによる事故はなぜ起こる?

悲劇をおこさないためには?

高齢者ドライバーによる交通事故は年間数百件も起きています。 加齢によって運転能力が低下するので、年を取るにつれて事故を起こすリスクは高くなっていくのです。 これは認知症にかかっているかどうかが問題なのではありません。 加齢による心身の能力の低下は自然な反応です。 どんな人でも年齢を重ねると事故を起こしてしまう危険性と隣り合わせになると言うことなのです。 しかしこういったことは当事者の高齢ドライバーにはなかなか理解されません。 原因の1つとして、地方の山間部などでは車がないと移動の手段が失われるというものがあります。 高齢者は習慣的に病院に行かなくてはならないこともあり、車が大切な移動手段になっているのです。 このため国や都道府県が対策として、運転免許を返納した人に対するタクシー代やバス代の補助金を公布していますが、それでも頑なに返納に応じない人もいてその家族との間に確執を引き起こしています。 ある家庭では、80代の家族が車を運転して物に車体をぶつける回数が多くなったために、運転をしないように説得をしました。 しかし聞き入れてはもらえず、鍵を隠したりしているうちに自分でスペアキーを作って運転するようになってしまったと言います。 結局強硬策として車のバッテリーを外し、故障したように思わせて廃車に持ち込んだような例もあるのです。 高齢の家族が車の運転を止めてくれないことが家族を苦しめています。 万が一死亡事故などを起こしてしまったら取り返しが付かないのですから。

なぜ高齢者は運転にこだわるのか

高齢者ドライバーの多くは、自分の車を運転する能力が低下して行くことを認めません。 それはいつまでも若いと思ってしまう人間の心理と、老人扱いされることで自尊心が傷つけられることへの反発なのです。 同時に年を取り、友人や自分の家族を次々に失っていき自身にも投薬や通院など負担がかかっていく中で、老人性うつになりストレス発散の方法として車の運転を求めてしまうのです。 好きな車を運転するということは、楽しみが少なくなりつつある高齢者の大切な娯楽のようです。 それでも高齢者ドライバーによる悲惨な死亡事故は看過できる問題ではありません。 車を運転しなくても移動が可能になる環境作り、高齢ドライバー教室、免許更新の際の規制強化、更には自動運転をする自家用車の開発など、様々な側面から交通事故抑制のための働きかけがなされています。 特に自動運転技術の発展は期待されているテーマです。 自動ブレーキの技術向上によって、生涯安全に車に乗れる社会が実現できるかもしれません。


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