
年のせいだから仕方がない?老人性難聴とは
年をとると聞こえづらくなる?
年齢が進むにつれ身体の色々なところに変化があらわれ、戸惑うことが多くなります。 老人性難聴もその1つ。早い方では50歳を過ぎたころから症状があらわれます。 老人性の難聴は特徴があり、例えば人との会話を聞いた場合、音自体は聞き取ることが出来るのですが、年を追うごとにその内容が何を話しているのかがわからなくなり、聞き取りにくくなってきます。 また、低い音よりも高い音から聞こえが悪くなってくる方が多いです。 聴力は右だけ、左だけと片方だけというのではなく、両耳の聞こえが同時に悪くなります。 ある日突然悪化し、聞こえが悪くなるというのではなく、ちょっとした異変を感じ始め、徐々に聞き取りにくい状態と変わっていきます。 言葉の聞き取ることが低下してくると人の話していることが良く聞こえない事があるため何度も聞き返すことが増えてきます。 そうなるとコミュニケーションがうまく取りづらくなるため、本人もその家族の方もお互いにイライラすることが出てきます。 そのうち聞こえていないのをこれ以上相手に知られてたくなく、話をするのも嫌になってくる方や人とのコミュニケーションを避けるようになり、ひとりで引きこもることが増えてしまう方もいます。 ある程度の高齢となると誰もが聴力は低下するという事を知ると、自分一人だけが辛い思いをしているわけではないので気持ち的には楽になります。 残念ながら老人性難聴は完全に改善する、治すという事は出来ません。 しかし、補聴器などの使用する方法や日頃からの心がけで進行を遅らせるなど、老人性難聴からの辛さを軽くする方法はあります。 今回は老人性難聴の原因や進行を遅らせる方法などについてお話ししましょう。
老人性難聴の原因って何?
老人性難聴は60歳代前半でスト5〜10人に1人の割合、60代後半になると3人に1人の割合、75歳以上ですと7割以上の方が起こるとされています。 老人性難聴は加齢とともに進行し、年齢の他には原因となるものがありません。 ではなぜ年齢を重ねると耳の聞こえが悪くなるのでしょうか。 通常、鼓膜から伝わる音の振動を受け取り、脳へ送ることにより、音が聞き取れるのですが年齢を重ねてくると加齢が原因によりいつも整然と並んでいる音の振動をキャッチする細かい内耳の有毛細胞が壊れてなくなっていきます。 一度壊れてしまった有用細胞というのは再生されず残念ながら、再生することはできません。 つまり老人性難聴は大切なセンサーの役目を果たしている有毛細胞である内耳にある感覚細胞・神経の細胞が徐々に減少するため時間が経つにつれ耳の聞こえが悪くなってしまうのです。
老人性難聴による悪影響とは
老人性難聴が進行し、耳の聞こえが悪くなってしまうと日常生活に悪影響を及ぼす危険があります。
- 救急車や消防車・パトカーなどの音に気付かない
- 車が自分の近くに来る時の音や帰宅した時の音が聞こえない
- 留守番をしていてもチャイムの音や電話の音が良く聞こえない
- 話を聞いていないと周囲に疑われる・怒られる
- 病院や銀行などで待ち合わせにいる際に自分が呼ばれても気が付かない
- 電話に出ても上手く聞き取れないため、何度も聞き返し、メモも書けない
- 人と接するのが怖くなり、自分の家に引きこもってしまう
- 良く聞き取れないためイライラしがちになってしまう
老人性難聴になると日常生活に支障をきたすだけでなく、大きな事故などにつながる危険性もあります。生活に少しでも不便を感じたら難聴を疑い、早めに耳鼻科を受診しましょう。
老人性難聴を放置すると認知症のリスクが高まる?
老人性難聴は放置しておいても自然と良くなるものではありません。 放置しておくと、進行が早まるほか、認知症のリスクを高める可能性があります。 難聴になるとどうしてもコミュニケーションが難しくなるため、人との会話・接することが減ってしまいます。そうなると脳の機能が低下し、認知症につながる可能性があります。 その他に耳が聞こえづらいという事は日常生活の中で耳から入る少ない情報の中で何とか内容を理解しようと多くのワーキングメモリーの容量を消費してしまい、認知機能を衰えさせ、認知症を進行させてしまう可能性があります。 また、聴力というのは脳の中の広い範囲に大きな影響を与えます。 そのため耳の機能が衰えてしまうと脳が委縮しやすくなるため、認知症発祥のリスクを高めてしまうのです。 歳だから仕方がない、多少聞こえが悪いだけだから大丈夫とそのままにしてしまう、軽くとらえて放置してしまうと難聴が進行するだけでなく、認知症を進行させる危険性もあるのです。
老人性難聴の進行を遅らせるためには
まず、自分の耳が最近聞こえづらくなってきたと感じる方は、出来るだけ早く耳鼻科の受診を受けるようにしましょう。 詳しい聴力検査を受け、どのくらいの聴力になっているのか、他に耳の異常はないか、他の病気が原因となっていないかなどを詳しく検査を行い、医師の指示に従い治療を行いましょう。 そして他に異常がなく、老人性難聴によるものである場合は、医師の指導のほか、出来るだけ難聴の進行を遅らせるための生活習慣を取り入れるようにしましょう。
規則正しい生活を心掛ける
これかすべての年代の方に言えることですが、体内時計を正常にし、出来るだけ早寝・早起きの規則正しい生活習慣を心掛けることは、健康維持につながり、また難聴の進行を遅らせるためにも効果的です。 食事はバランスの取れたものを心掛け、1日3食をきちんと摂取する様にしましょう。 特に睡眠の質を高める事は大切。心と身体の健康を維持するために快適で充分な睡眠時間を取る事は大切です。 寝室は眠りやすい快適な温度設定・湿度設定にし、ぐっすりと眠れるよう落ち着いた照明器具や寝具などを選ぶようにしましょう。
ストレスは出来るだけ早めに発散する
仕事や日常生活の中での過度のストレスは老人性難聴を進行させる大きな原因となります。 ストレスは早めにできるだけこまめに発散する様にすることが大切。 心身共に疲れたら気分転換をするようにしましょう。 自分の好きなスポーツや趣味・特技を楽しんだり、美味しいものを食べたり、おしゃべりを楽しむなど、自分自身の為の楽しい時間を過ごすことがおすすめです。
大きな音は出来るだけ避けるようにしましょう
老人性難聴になると日常的に大きな騒音にさらされた状態は、症状を進行させてしまう可能性があります。 エレキギターやドラムなどの大きな音楽のコンサートなども注意をすること。 カラオケはストレス解消には役立ちますが、あまり大きな音量にしないようにしましょう。 あまり家の中の騒音レベルが高い場合は防音ガラスや防音カバー、カーテンなどで予防をし、環境面を確認し、出来ることは改善していきましょう。
補聴器を使用する
老人性難聴が診断されたら、日ごろから耳に悪影響をあたえない規則正しい生活やバランスの取れた栄養・質の良い睡眠などを心掛けることは大切ですが、聞こえの機能回復・改善するためには補聴器が大きな役割を果たしてくれます。 補聴器はつけ始めに違和感・抵抗感があり、慣れるまで時間がかかりますが、最近の補聴器は目立たなく、性能も抜群。 きちんと聞こえるというのはストレスを減らし、コミュニケーションをとりやすくし、生活が楽になり、心身が安定するなど大きなメリットがあります。 良く医師や補聴器の専門家と相談し、補聴器を比較検討し、自分に合った使いやすい補聴器を選びましょう。